9 月 の ネ ル 物 語


 北町の公園では”すすき”が穂をだしていました。
朝晩の涼しさが、ようやく秋の訪れを感じさせるこの頃です。

 今月もネルの遺稿を掲載します。 読んでやってください。


(にらめっこ)
 わたしは人間にじっと見られるのが苦手です。相手がママやパパでも、じっと見つめられると、何にも悪いことをしていないのに怒られているような気持ちになっていじけてしまいます。わたしだけでなく、元来ネコはみんなにらめっこが嫌いです。
 なのに、わがやでは家族に見つめられることが多いように思います。なんとなく視線を感じて振り返るとパパがわたしのことを見ていたり、ママに見られていたりします。わたしは鰹節や食卓の魚を黙ってとったりしないのですから(みんなが寝ているときは別ですが)放っておいてほしいのです。
勝手に見られているのはまだまよいとして、目があってじっと見つめられるとスッゴクイヤなので家族がそろって暇そうにしているときは、知らんぷりをして余所をみていたり、目をつぶってじっとしていたりします。悪口を言われたり、耳寄りな情報を聞き逃すといけないので耳だけはとがらせておきますが。
 ある晩、わたしが炬燵台の上に座って適度に暖かさが伝わってくるのを楽しんでくつろいでいると、ママが「ネルさん」と声をかけます。わたしは、折角の気分をそがれるとイヤなので無視していました。ちゃんと耳で聞いているのですから、用事あれば言葉で言えばいいものを何度も呼びます。そんな時は、どっちみちろくなことではない用事にきまっています。たいてい”なんとなく気晴らしにネルを触ってみたい”なんていうことなのです。この日は、わたしが目が合うのを避けてずっと後ろを向いたままでいると、怪獣のおもちゃを持ちだしてきて”ちょっかい”を出しました。ひとが折角いい気持ちで休んでいるのに迷惑もいいところです。
ママにも少しは大人になってもらいたいものだと思います。


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